エシカル消費とは?普段のお買い物での「選ぶ力」を磨こう

近年、環境問題や社会課題への関心が高まる中で、「エシカル消費」という言葉を耳にする機会が増えています。私たちEthical&SEA(エシカルシー)は、エシカルなアイテムを取りそろえるセレクトショップとして、お客様に意志をもった選択をするきっかけを提供し続けています。物質的な豊かさに溢れている現代社会において、私たちは選び取る自由を手に入れました。それと同時に、意志をもって自分らしい生き方を選択する力が試されているのです。
今回は、エシカル消費の基本的な定義から背景、そして私たちの日常生活に与えるメリットについて詳しく解説していきます。7世代先の子どもたちのために、今なにをしなければならないか考えて行動する――そんなネイティブアメリカンの価値観を大切にしながら、エシカル消費の「選ぶ力」について考えていきましょう。
エシカル消費の定義と基本概念
エシカル消費とは、一般社団法人エシカル協会の定義によれば「人と社会、地球環境、地域のことを考慮して作られたモノを購入・消費すること」を指します。この概念は単なる買い物の行為を超えて、私たちの価値観や将来への責任を表現する手段として位置づけられています。
従来の消費行動が価格や品質、デザインといった個人的なメリットを重視していたのに対し、エシカル消費は製品の背景にある生産過程や社会的影響まで考慮に入れた選択を行います。これは製品がどのように作られ、誰によって作られ、どのような影響を環境や社会に与えるかを意識した消費スタイルなのです。
エシカル消費の対象範囲は非常に広く、フェアトレード商品、オーガニック製品、地産地消、リサイクル商品、動物実験を行わない化粧品、労働環境に配慮した製品など多岐にわたります。これらすべてに共通するのは、単に個人の満足だけでなく、より大きな社会的価値を創造することを目指している点です。
また、エシカル消費は「消費は投票」という考え方に基づいています。私たちが何を購入するかという選択は、その企業や生産者の活動を支持し、継続させることにつながります。つまり、日々の消費行動を通じて、どのような社会を築いていきたいかを表明していることになるのです。
エシカル消費が注目される社会的背景
エシカル消費への関心が高まっている背景には、深刻化する環境問題があります。2050年にはごみの量が魚の量を超える、北極の氷が半減する、世界の子供10人に1人が労働に従事している、山火事により1258.8メガトンのCO2が発生する、30年間で日本5つ分の森林が消失する、毎週クレジットカード1枚相当のマイクロプラスチックを摂取しているなど、地球規模での課題が顕在化しています。
これらの問題は、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄という経済システムの限界を示しており、持続可能な社会の実現に向けて消費者の意識変革が求められています。特に気候変動問題は待ったなしの状況にあり、個人レベルでできる行動として、エシカル消費が注目されているのです。
さらに、SNSやインターネットの普及により、企業の社会的責任や生産過程の透明性に関する情報が容易に入手できるようになりました。これにより、消費者は製品の背景にある問題を知る機会が増え、より責任ある選択を求める声が高まっています。
国際的にもSDGs(持続可能な開発目標)の採択により、企業や個人レベルでの持続可能な行動への期待が高まっており、エシカル消費はその実現手段の一つとして重要視されています。また、Z世代やミレニアル世代を中心に、社会課題への関心が高い消費者層が増加していることも、エシカル消費市場の拡大を後押ししています。
エシカル消費がもたらす多面的なメリット
エシカル消費を実践することで得られるメリットは、個人レベルから社会レベルまで多岐にわたります。まず個人レベルでは、自分の価値観に基づいた消費行動を通じて、より充実感のある生活を送ることができます。単に物を購入するという行為を超えて、社会貢献の意識を持った選択は、自己肯定感や満足度の向上につながります。
また、エシカルな商品は品質にこだわって作られているものが多く、結果的に長く使える製品を選ぶことで、経済的なメリットも享受できます。オーガニック化粧品であれば肌をやさしく包み込み、毎日のスキンケアに心地よさをもたらしてくれます。フェアトレード商品であれば、生産者の労働環境改善に貢献しながら、高品質な商品を手に入れることができます。
社会レベルでは、エシカル消費の拡大により、企業の社会的責任への取り組みが促進されます。消費者の意識的な選択が企業行動を変化させ、より持続可能なビジネスモデルの普及につながります。これは労働環境の改善、環境負荷の軽減、地域経済の活性化など、幅広い社会課題の解決に寄与します。
環境面でのメリットも見逃せません。プラスチックの使用を減らすことで、自然に帰らないごみを削減し、海と人の健康を守ることができます。オーガニック商品を選ぶことで、使う人はもちろん生産者や土壌、他の生態系への配慮につながります。地産地消を意識することで、国産のものを購入し、CO2排出による環境汚染の抑制に貢献できます。
さらに、エシカル消費は次世代への責任という観点からも重要な意味を持ちます。私たちの今の選択が、将来の子どもたちの生活環境に直接的な影響を与えるからです。持続可能な選択を続けることで、豊かで美しい未来を実現する礎を築くことができるのです。
エシカル消費の「選ぶ力」と実践方法
エシカル消費を実践するためには、まず正しい情報を知ることから始まります。商品がどのような背景で作られているのか、どのような認証を受けているのか、生産者の労働環境はどうなっているのかなど、商品の表面的な情報だけでなく、その背景にあるストーリーを理解することが重要です。
日常生活でエシカル消費を実践する具体的な方法として、以下のような観点から商品を選ぶことが挙げられます。オーガニック認証を受けた化粧品を選ぶことで、肌に潤いを与えながら環境にも配慮できます。プラスチックフリーの商品を選ぶことで、地球環境の負担を軽減できます。ヴィーガン商品を選ぶことで、動物の命と地球の環境に配慮した日常生活を送ることができます。
また、フェアトレード商品を選ぶことで、適切な対価を支払う仕組みを支援し、途上国の持続可能な発展につながります。自然由来成分配合の商品を選ぶことで、石油由来成分や化学物質を極力排し、環境に配慮した選択ができます。
「選ぶ力」を育むためには、継続的な学習と実践が欠かせません。商品パッケージに表示されている認証マークの意味を理解したり、企業のサステナビリティレポートを読んだり、生産者の声に耳を傾けたりすることで、より深い理解と適切な判断力を身につけることができます。
さらに、完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ始めることが重要です。すべての消費行動を一度に変える必要はありません。例えば、化粧品のうち一つだけでもエシカルな商品に変えてみる、食材のうち一部をオーガニックに変えてみるなど、段階的なアプローチで取り組むことが継続のコツです。
エシカル消費の未来展望と私たちの役割
エシカル消費は一時的なトレンドではなく、持続可能な社会を実現するための必要不可欠な取り組みです。海外では既に大きな市場を形成しており、イギリスの小売り大手Co-Opのデータによると、英国内におけるエシカル消費の市場規模は2021年にかけて1,220億ポンド(19兆円相当)に達しています。この額は日本のコロナ禍(2020年)の外食市場規模全体で18兆円を超える規模です。
日本国内でも、消費者庁のデータによると、エシカル消費への興味は2016から2019年にかけ64%ほど増加し、エシカル消費経験も25%増加しています。このように、日本国内でもエシカル消費への興味・関心が少しずつ増えてきている状況で、今後の市場拡大が期待されています。
私たち一人ひとりの役割は、単に商品を購入することだけではありません。エシカル消費の意義や価値を理解し、それを周囲の人々と共有することで、社会全体の意識変革を促進することも重要な役割です。また、企業に対してより透明性の高い情報開示を求めたり、持続可能な商品開発を期待したりすることで、市場全体をより良い方向に導くことができます。
エシカル消費を通じて実現したい未来は、澄んだ空気・きれいな水・栄養あふれる土壌に恵まれた地球と、健康な身体・健やかな心をもつ人と動植物が共存・繁栄し続ける「豊かで美しい未来」です。これは決して遠い理想ではなく、私たちの日々の選択の積み重ねによって実現可能な未来なのです。
エシカル消費という「選ぶ力」を身につけることで、自分自身の生活をより豊かにしながら、同時に社会や環境にも貢献することができます。気持ちのよい、意志を持った選択をしている自分は、なんだかちょっと豊かで素敵だと感じられるはずです。
エシカル消費について理解を深め、実際に商品を手に取って体験してみたいと思われた方は、ぜひお近くの店舗やオンラインストアで、エシカルな商品との出会いを楽しんでください。あなたの小さな一歩が、大きな変化の始まりとなるのです。